アメリカで大麻が合法って本当?
アメリカで大麻は合法というのは、本当です。
詳しく言うと、州ごとに適用される法律「州法」で合法とされているという形で、
アメリカ全土の一部で大麻が合法となっております。
また、医療用大麻のみ合法の州もあれば、嗜好用大麻も合法の州もあります。
(アメリカ全土に適用される法律「連邦法」では違法です。)
なぜそんなことが起こっているのかというと、
アメリカでは各州が住民投票を行い独自の法を立てることができ、
州によって法律が異なっているからです。
大麻には「医療用」と「嗜好用」と「産業用」の3つの使い方があります。
また、用途によって「合法」「非合法」が分けられている場合があります。
- 医療用:鎮痛や沈静、催眠などの効能を期待する
- 嗜好用:自分の楽しみのために大麻を利用する
- 産業用:衣服や縄、食品などの用途で用いる
ちなみに、日本では産業用は合法、嗜好用と医療用が非合法となっております。
用途によって、どれぐらい使用が認められているのかをみていきましょう。
「医療用」として使用を認められている州は25州もあります。
カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ミネソタ州、ハワイ州などがそうです。
マリファナについて最も理解がある州はカリフォルニア州で、医療用としての使用を全米で最初に認めたのもこの州です。
2019年11月8日にマリファナについての住民投票が行われ、「21歳以上の人に」使用や販売を認める決定がされました。
「医療用」だけでなく「嗜好用」としても使用が認められている地域は、2020年6月現在で以下11つの州です。
ワシントン州、コロラド州、オレゴン州、メイン州、ヴァーモント州、マサチューセッツ州、アラスカ州、ネヴァダ州、カリフォルニア州、ミシガン州、ワシントンD.C
2なぜアメリカは大麻が合法となったのか
大麻がアメリカで合法となった理由は3つあります。
- そもそも大麻が違法とされる正当な理由はなかったから
- 莫大な雇用と税収が見込めるから
- 健康促進や病気の治療の役に立つから
これらの項目について、順番にみていきましょう。
そもそも大麻が違法とされる正当な理由はなかったから
そもそも違法になった理由は2つで、
- 禁酒法解禁に伴って取締り側の仕事がなくなったから
- 第一次世界大戦後、権力者達が石油で儲けようとしてたから
です。
イギリス系の移民がドイツ系の移民の日常的な飲酒により、アメリカのキリスト教道徳が薄れることを懸念したことで、アルコールの代わりに大麻を吸い始めたのが最初です。
また、大麻はかなり安価で手に入ったため、下層移民を中心に広まっていきました。
しかし、1915年ごろから南西部の州を中心に、医療目的以外の大麻使用が州法によって非合法化され始めました。
さらに、1933年に禁酒法が廃止され、市場にアルコールが戻るとこれまで大麻を吸っていた人たちも再び、酒を飲むようになりました。
第一次世界大戦後、アメリカでは支配層と言われる企業家や政府の権力者が、石油を使ったエネルギーと石油化学製品の台頭を狙い、ますます勢力を拡大しようとしていました。
そこで、石油の他に燃料を生み出すことができる大麻の存在が邪魔になり、政府は1937年にマリファナ課税法を制定しました。
こうして、アメリカでは大麻に対する取り締まりが非常に強くなり、ヨーロッパ各国もこれに追随し、第二次世界大戦後の1961年には「麻薬に関する単一条約」が制定され、世界的にも、大麻は違法薬品であるという認識が強まりました。
大麻の中毒性が違法につながったのでは?と思う方もいるかもしれませんが、1994年にアメリカの国立研究所が、大麻の中毒性はカフェインと同程度であり、ニコチンよりも中毒性が低いとのデータを発表しています。
また、薬物事件を数多く手がける小森榮弁護士も大麻の合法への動きについて、次のように述べております。
アメリカでも大麻に害があることを疑っている人はいません。ただ、リスクはタバコやアルコールと同程度という研究もあり、以前から他の薬物と同じように規制するのはおかしいという解禁論がありました。一方、膨大な予算を投入して規制しても状況は改善せず、税金の無駄遣いだという声もあがっています。そこから刑罰で封じ込めるのでなく、非犯罪化してコントロールしようという動きが出てきた
上記のことから、大麻が違法とされてきたのには、一般的に考えられている「害」という観点ではなく、宗教や勢力争いが大きく影響していたことがわかります。
また近年では、大麻がタバコやアルコールと同程度のリスクしかないということや莫大な予算を使っても状況が改善されないことから、大麻を刑罰で封じ込めるのではなく、非犯罪化した上でコントロールするという動きが取られています。
莫大な雇用と税収が見込めるから
現在、大麻税収が州には何百万ドルもの財源となっています。
これらの収入は、教育、学校建設、幼少期識字率向上、いじめ防止、問題行動への対応、
アルコールおよび薬物治療の資金源となり、社会的利益に配分されています。
合法化された後の大麻産業は、わずか2年でビール産業の売上を追い抜き、しかも大麻の税率は酒の3倍となっているため、合法初年度でビールの税収を上回ります。
また、合法大麻産業は全国の165,000〜230,000 人の常勤労働者とパートタイム労働者を雇用しています。
この数は、より多くの州が大麻を合法化し、非合法市場を新しい合法市場に置き換えるにつれて、増加し続けていくと言われています。
医療用大麻は人間の身体に良いから
医療用大麻は神経保護作用があり、慢性疼痛、炎症または細菌感染症のような患者に影響を与えるある種の症状の軽減に役立ち、骨の成長を促進します。
また、国連条約や国際法は、特定の疾患の治療のための大麻や大麻を原料にした製品の医薬品としての使用を禁止していません。
大麻とカンナビノイドが成人の慢性疼痛(例えば癌症例)の治療、化学療法で誘発された吐き気と嘔吐の治療、または患者から報告された多発性硬化症の痙縮症状の改善のための制吐薬などの治療効果があり、不安障害、PTSD およびうつ病の患者の治療に有効であるという決定的または実質的な科学的証拠が得られています。
とはいえ、医療用大麻に関する研究・研究費に関する公式データはまだ不足しています。
医療用大麻に関する研究は、EUにおける現行の研究計画の下では直接的な支援を受けておらず、EU加盟国における医療用大麻に関する研究プロジェクトに関する調整はほとんど行われていません。
医療用大麻の研究が進んでいくと、より大麻解禁の動きが強まっていくのでは?と予測されています。
医療目的での大麻の使用に関する 2019 年 2 月 13 日の欧州議会決議
大麻が合法となった後のアメリカについて
青少年のマリファナ使用率は安定化している
大麻(マリファナ)合法化で未成年の購入が簡単になり、未成年の利用が多くなると危惧されていました。
ワシントン、コロラド、アラスカでは、高校生のマリファナ使用率は全米の使用率によく似ています。
これらの結果は有望であり、マリファナの普及拡大の恐れが実現していないことを示唆しています。
合法化される前は闇取引しかなかったことから、売人は、相手が未成年だろうがかまわず販売していましたが、合法化されると闇取引はできなくなり、販売する相手を管理できるようになります。
コロラド州の調査では、大麻を使用したことがある高校生の数が、合法化される前と比べ合法化された後のほうが減少していました。
マリファナ税収は当初の予測を上回っている。
合法化された後の大麻産業は、わずか2年でビール産業の売上を追い抜き、しかも大麻の税率は酒の3倍となっているため、合法初年度でビールの税収を上回ります。
マリファナ産業は雇用を創出している
合法マリファナ産業は全国の165,000〜230,000 人の常勤労働者とパートタイム労働者を雇用しています。
まとめ
マリファナ合法化の成功と一般の圧倒的な支持を受けて、すでに争点はマリファナを合法化するかどうかではなく、いかに合法化するかに変化しています。
明らかに、 マリファナ犯罪と法執行に関する不平等で人種差別的な弊害を是正することに重点を置いた政策を優先する 必要があります。
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